DDDの集約(Aggregate)設計ルールに基づくコードレビュー・設計支援・リファクタリングを行う。 Evans Rules、Vernon's 4 Rules、Design by Contractに基づき、集約の境界定義、不変条件の検証、 不変(Immutable)設計、ID参照、結果整合性、ドメインイベント連携を包括的にガイドする。 以下のいずれかに該当する場合は必ずこのスキルを使用すること: - 集約(Aggregate)の新規設計・実装・リファクタリング(どの言語でも) - 既存の集約やエンティティクラスのDDD観点でのコードレビュー - 集約の境界決定(「AとBは同じ集約にすべきか?」「この集約は大きすぎるか?」) - 集約内の不変条件・整合性境界の設計 - 集約間の連携方式の判断(ドメインイベント、結果整合性、Sagaパターン) - 可変(Mutable)な集約コードを不変(Immutable)設計にリファクタリングする - publicフィールド、直接参照、push/appendなどカプセル化違反の検出・修正 キーワード例:集約、Aggregate、aggregate boundary、集約ルート、AggregateRoot、 エンティティ設計、DDD実装、Vernon Rules、Evans Rules、集約の分割、真の不変条件
cqrs-to-event-sourcing
CQRSの実装においてイベントソーシングが必然的に必要となる理由を論理的に説明する。C側からQ側へのデータ同期問題(計算された値の同期不可、トリガーの限界、ポーリングの スケーラビリティ問題、ダブルコミット問題)を段階的に分析し、イベントを真のデータソースに する設計への到達過程を示す。CQRS導入検討、アーキテクチャ設計時に使用。
対象言語: 言語非依存。トリガー:「CQRSにイベントソーシングは必要か」「C側とQ側の同期方法」 「CQRSでモデルを分ける必要はないのか」「リードモデルの更新方法」 「なぜイベントソーシングが必要か」「ダブルコミット問題」「CQRSの同期問題」 「CQRSはESなしでも動くか」といったCQRS/ES必然性関連リクエストで起動。
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CQRSはなぜEvent Sourcingになるのか
CQRSを実装すると、C側からQ側への同期問題に直面し、イベントソーシングに至る。これはオプションではなく、実装上の必然である。
よくある誤解: 「CQRSはモデルを分ける必要がない」
この解釈は危険な誤読である。
正しい意味は「システムのうち、CQRS領域と非CQRS領域に分けることができ、CQRSを部分導入できる」ということ。モデルを分けなくてよいのは非CQRS領域であり、CQRS領域内ではコマンドモデルとクエリモデルの分割は必須。
システム全体
├── CQRS領域 → モデル分割は必須
└── 非CQRS領域 → 分割不要(従来のCRUDで十分)
「CQRSはモデルを分割しなくてもいい」という解釈は、もはやCQRSではない。
C側とQ側のデータの違い
CQRSにおいて、C側(コマンド)とQ側(クエリ)のデータは根本的に異なる。
具体例: カートシステム
C側テーブル(ドメインモデルの永続化に必要な最小データ):
| カートテーブル | カートアイテムテーブル |
|---|---|
| カートID (PK) | カートアイテムID (PK) |
| 顧客アカウントID | カートID (FK) |
| 上限予算金額 | 商品ID |
| 作成日時 | 数量 |
| 作成日時 |
Q側テーブル(表示・検索に必要なデータ):
| カートテーブル | カートアイテムテーブル |
|---|---|
| カートID (PK) | カートアイテムID (PK) |
| 顧客アカウントID | 商品ID |
| 顧客アカウント名 ★ | 商品名 ★ |
| 上限予算金額 | 数量 |
| 合計金額 ★ | 単価 ★ |
| 価格 ★ |
★の値はC側のデータベースに存在しない。ドメインオブジェクトの振る舞いによって計算される派生値である。
case class Cart(id: CartId, items: CartItems, ...) {
// 合計金額はドメインオブジェクトの計算結果であり、DBに保存されない
def totalPrice(priceResolver: ItemId => Price): Price =
items.fold(Price.zero){ (t, item) => t + item.price(priceResolver) }
}
case class CartItem(id: CartItemId, itemId: ItemId, quantity: Quantity, ...) {
// 単価は外部から提供され、価格は計算される
def price(priceResolver: ItemId => Price): Price =
priceResolver(itemId) * quantity
}
同期方法の段階的検討と限界
方法1: トリガーによる同期
C側のテーブル更新時にSQLでQ側を書き込む。
限界:
- 静的データ(顧客名等)の転送には有効
- 計算された値(★)は同期できない - ドメインロジックの計算結果はDBに存在しない
- 同じ計算ロジックのSQLを書くのは困難であり、ビジネスロジックの重複を生む
- 苦肉の策として計算結果もC側に保存すると、リポジトリのインターフェースが歪む
// ❌ リポジトリに計算ロジックの責務が漏れる
trait CartRepository {
def store(cart: Cart, priceResolver: ItemId => Price): Unit
// priceResolverはリポジトリの責務ではない
}
方法2: ポーリングによる同期
プログラムでC側テーブルを読み込み、ドメインオブジェクトで計算後、Q側に書き込む。
限界:
- 計算結果のQ側転送は可能
- 「いつ変更されたか」を検知できない - 変更トリガーがない
- 全集約をポーリングする必要があり、スケーラビリティがない
- 大量の集約が存在する場合、実用的ではない
結論: 最新状態を手に入れるにしても、更新イベントが必要。
方法3: イベント通知キューの導入
変更時にイベントをキューに発行し、Q側更新プログラムがイベントを受信して同期する。
C側リポジトリ → RDB(テーブルA) + メッセージキュー(更新イベント)
↓
リードモデル更新プロセス
↓
C側テーブルから集約再現 → Q側テーブル書き込み
限界: ダブルコミット問題が発生する。
- RDBとメッセージキューは異なるストレージ
- 同一トランザクションに統合できない
- RDBへの書き込み成功 + キューへの書き込み失敗(またはその逆)が起こりうる
- 高いコストを払う可能性がある
必然的な到達点: イベントソーシング
ダブルコミット問題を回避するには、イベントを真のデータソースにする。
設計の転換
従来:
C側DB(状態を保存) + メッセージキュー(通知用)
→ 2つのストレージへの書き込み = ダブルコミット問題
イベントソーシング:
イベントストア(イベントが真のデータソース)
→ 1つのストレージへの書き込みのみ
→ C側の状態はイベントから導出
→ Q側の状態もイベントから導出
結果
- C側のDBはRDBである必要がなくなる(イベントの追記とIDごとの読み込みが可能なシステムであれば何でもよい)
- NoSQL(KVS)が適している場合が多い
- DynamoDB Streamsなどでスケーラブルにイベント読み込みが可能
- これがEvent Sourcing
イベントストア(真のデータソース)
│
├──→ C側: イベントからドメイン状態を再構築
│
└──→ Q側: イベントからリードモデルを構築
(計算された値も含めて自由に構築可能)
CQRSシステムのほとんどがEvent Sourcingを採用する理由
Lightbend社の調査によると、CQRSシステムのほとんどがEvent Sourcingを採用している。
| 段階 | 方法 | 問題 |
|---|---|---|
| 1 | トリガー | 計算された値を同期できない |
| 2 | ポーリング | 変更検知できない、スケールしない |
| 3 | イベントキュー | ダブルコミット問題 |
| 4 | Event Sourcing | 上記すべてを解決 |
Event Sourcingはオプションではなく、CQRSを真剣に実装すると必然的に到達する設計パターンである。
判断フロー
CQRSの導入を検討している
↓
C側とQ側のデータは同一か?
├─ YES → CQRSは不要。従来のCRUDで十分
└─ NO(Q側に計算値・結合データがある) ↓
C→Qの同期をどうするか?
├─ トリガー → 計算値は同期できない
├─ ポーリング → 変更検知・スケーラビリティの問題
├─ イベントキュー → ダブルコミット問題
└─ Event Sourcing → すべて解決
関連スキルとの関係
| スキル | 関係 |
|---|---|
cqrs-tradeoffs | CQRSの一貫性・可用性・スケーラビリティ。本スキルはESが必要な理由 |
aggregate-transaction-boundary | トランザクション境界。本スキルはC→Q同期の問題 |
cross-aggregate-constraints | 集約間制約。本スキルとは別次元の問題 |
レビューチェックリスト
CQRS設計
- CQRS領域と非CQRS領域を明確に分離しているか
- CQRS領域内でコマンドモデルとクエリモデルを分割しているか
- 「CQRSだがモデルは分けない」という矛盾した設計になっていないか
C→Q同期
- Q側に必要なデータの中に、C側DBに存在しない計算値があるか確認したか
- 計算値がある場合、トリガーでは解決できないことを理解しているか
- C→Q同期の仕組み(イベント駆動)が設計されているか
- ダブルコミット問題を認識し、対処しているか
Event Sourcing
- イベントを真のデータソースとする設計か
- C側の状態がイベントから導出可能か
- Q側のリードモデルがイベントから構築可能か
関連スキル(併読推奨)
このスキルを使用する際は、以下のスキルも併せて参照すること:
cqrs-tradeoffs: CQRS採用判断のトレードオフ分析cqrs-aggregate-modeling: イベントソーシング下での集約モデリングaggregate-transaction-boundary: イベントストアによるダブルコミット問題の解消
レビュー
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同じリポジトリのスキル
概要と使いどころ
集約とトランザクション境界の関係を明確化し、複数集約を単一トランザクションに含めるアンチパターンを 検出・是正する。集約は強い整合性境界であり、ユースケースで複数集約を更新する場合は結果整合性を 使うべきという原則を適用する。コードレビュー、ユースケース設計、リファクタリング時に トランザクション境界の問題を検出する場合に使用。 対象言語: 言語非依存(Java, Kotlin, Scala, TypeScript, Go, Rust, Python等すべて)。 トリガー:「複数集約を同じトランザクションで更新している」「ユースケースに@Transactionalがある」 「集約間の整合性をどう取るか」「Sagaパターンを使うべきか」「トランザクション境界の設計」 「1トランザクション1集約」「結果整合性の実装」「集約をまたぐトランザクション」 といったトランザクション境界関連リクエストで起動。
後方互換性がゴミコードを量産する構造を検出し、互換性を「契約と撤去計画」として管理する ガバナンスを支援するスキル。公開API境界の明確化、非推奨化サイクル(deprecation cycle)の 制度化、互換層の局所化(Adapter/Strangler Fig)、契約テスト(CDC)による互換性検証、 AI生成コードの互換性ゲート設計を含む。コードレビュー、API設計、リファクタリング、 レガシー移行時に互換性起因の技術的負債を防ぐために使用。 対象言語: 言語非依存(Java, TypeScript, Go, Python, Rust等すべて)。 トリガー:「後方互換性を保ちたい」「非推奨APIをどうする」「互換層が増えてきた」 「レガシー移行の戦略」「API設計レビュー」「互換性のためのコードが多い」 「deprecation policyを作りたい」「破壊的変更の管理」といった互換性管理関連リクエストで起動。
getterの濫用を防ぐための命名規約スキル。ドメインモデルでgetterが必要な場合(永続化、JSON変換など)に `breachEncapsulationOf` プレフィックスを付与することで、カプセル化を破っていることを明示する。 これにより、Tell Don't Ask原則の違反を未然に防ぎ、getterの意図しない使用を抑制する。 コードレビュー、新規実装、リファクタリング時にgetter設計が必要な場合に使用。 対象言語: Java, Kotlin, Scala, TypeScript, Python, Go, Rust。 トリガー:「getterの命名規約」「カプセル化を破るgetter」「永続化用のgetter」 「breachEncapsulation」「getterを作りたいが濫用を防ぎたい」といったgetter命名関連リクエストで起動。
クリーンアーキテクチャを採用しているプロジェクト向けの設計・レビュー支援。4層構造(ドメイン層、 ユースケース層、インターフェースアダプタ層、インフラストラクチャ層)に基づく。特にインフラ層は 横断的関心事(ロギング、設定管理)のみ、永続化やRPCはインターフェースアダプタ層に配置すべき という原則を適用する。トリガー:「クリーンアーキテクチャで」「クリーンアーキテクチャに従って」 「クリーンアーキテクチャのレビュー」など、クリーンアーキテクチャを明示的に指定した場合のみ起動。 一般的な「設計レビュー」「アーキテクチャ相談」では起動しない。
CQRS/ESが集約の境界定義とモデリングに与える影響を解説する。CQRSを導入すると集約は コマンド実行に必要な最小限の状態のみ保持すればよくなり、読み取り責務はリードモデルに 委譲できる。大きすぎる集約の軽量化、集約境界の再定義、イベントによる状態管理を支援する。 集約設計、CQRS導入時のモデリング見直し、パフォーマンス問題の解決時に使用。 対象言語: 言語非依存。 トリガー:「CQRSで集約が変わる」「集約が大きすぎる」「集約にメッセージ1000件」 「集約の更新が重い」「CQRS導入で集約を見直す」「集約を軽量化したい」 「集約にクエリ用データが混ざっている」「集約の境界を再定義」 といったCQRS/モデリング関連リクエストで起動。