ファクトチェック(検証重視版)
テキスト・記事・ウェブページの内容を、体系立った検証方法論にもとづいて事実確認するための手引き。
検証可能な主張を取り出し、信頼できる一次情報・公的データ・検証機関と突き合わせ、各主張に真偽と確信度を付し、根拠とともに検証レポートにまとめる。
注意:本スキルは検証作業の進め方を支援するものであり、判定の最終責任と公表の判断は記者・編集が負う。AI自身の知識だけで真偽を断定せず、必ず外部の情報源にあたって裏取りすること。法令・統計・数値は最新版を確認する。本スキルは一般的な手引きであり、法的助言ではない。
同じレポジトリには、手順(ワークフロー)重視のファクトチェック版(fact-check)もある。本スキルは references(信頼できる情報源リスト・検証方法論)を伴う検証重視版で、情報源の格付けや確信度スコアの付け方を詳しく扱う点が異なる。
ファクトチェックの流れ
次の手順で、漏れのない検証を行う。
- 主張の抽出 — 検証可能な事実の主張をすべて洗い出す
- 情報源の調査 — 信頼できる情報源を体系的に検索して裏を取る
- 信頼性の評価 — 各主張を根拠とともに評価する
- 情報源の格付け — 定めた基準で情報源をスコア化する
- レポートの作成 — 所定の構成で結果をまとめる
ステップ1:主張の抽出
検証できる事実の主張を特定し、列挙する。
抽出する主張(検証の対象)
- 具体的で測れるもの(統計、日付、引用、固有名詞)
- 客観的に検証できるもの(出来事、事実関係、科学的記述)
- 出典が特定できるもの(典拠が示されている場合)
除外するもの
- 意見・主観的な評価
- 将来の予測(過去になされた予測の当否を見る場合は対象)
- 漠然として曖昧な記述
- 問いかけ・修辞的な表現
抽出した主張の書式
主張1:[具体的な事実の記述]
主張2:[具体的な事実の記述]
主張3:[具体的な事実の記述]
ステップ2:情報源の調査
各主張について、信頼できる情報源を体系的に検索する。
(具体的な情報源の一覧は references/trusted_sources.md を参照。)
検索の優先順位
- 一次情報・公的情報を最優先 — 官公庁・公的機関の発表や統計(e-Stat、各府省サイト、白書、裁判所、国会会議録など)。ウェブ検索では
site:go.jp [キーワード]、site:e-stat.go.jp [キーワード] などで絞る
- 公的データベース — 統計・公式データは原典のデータベースにあたる(e-Stat、各種白書、官報など)
- 学術情報 — 査読論文・学術文献(CiNii、J-STAGE、Google Scholar、PubMed など)。
[主張] 査読 論文 のように検索
- 検証機関 — 国内外のファクトチェック団体(日本ファクトチェックセンター、FIJ加盟団体など)
- 信頼できる報道 — 編集・校閲体制のある報道機関と突き合わせる
- 専門家・専門機関 — 分野特有の論点は当該分野の専門家・学会にあたる
検索の進め方
- ウェブ検索ツールで、主張に含まれる具体的なキーワードを使う
- 主張を支持する証拠と反証の両方を探す(確証バイアスを避ける)
- 有望な情報源はウェブ取得ツールで全文を取得して中身を確認する
- 独立した複数の情報源で裏を取る
- 可能な限り、原典・一次情報までさかのぼる
各主張について目標とする裏取り
- 独立した情報源を最低2〜3件
- 可能なら一次情報
- (特に時事的な主張では)新しい情報源
- 方法(出典・調査手法)が明示された情報源
ステップ3:信頼性の評価
各主張について、詳しい評価を付す。
検証ステータス
次のいずれかを割り当てる(判定基準の詳細は references/verification_methodology.md を参照)。
真(TRUE): 複数の信頼できる情報源が裏付け、重大な反証がない
偽(FALSE): 信頼できる証拠に反する。明らかに誤り
一部正確(PARTIALLY TRUE): 真実の要素を含むが、不完全・誤解を招く・重要な文脈を欠く
未検証(UNVERIFIED): 確認も否定もできるだけの証拠がない。情報源が対立し決着しない
意見・主観(OPINION/SUBJECTIVE): 検証可能な事実ではなく、意見・評価・予測の問題
確信度(コンフィデンス)
証拠の質に応じて確信度を評価する。
高(85〜100%): 独立した複数の信頼できる情報源が一致/一次情報あり/査読研究/専門家の合意
中(60〜84%): 信頼できる二次情報で裏付け/一定の補強あり/完全な合意のない専門家見解/間接的な証拠
低(40〜59%): 情報源が限られる/信頼度は中程度/状況証拠どまり/対立する情報がある
支持する証拠
各主張について、次を記録する。
- 情報源の典拠(可能なら取得したURL)
- 各情報源の要点(直接引用せず、自分の言葉で要約)
- 情報源の種類(査読論文、公的データ、報道など)
- 公表日と関連性
- 必要に応じて著者・発表者の専門性
反証
見つかった対立情報を記録する。
- 主張に反する情報源を挙げる
- 食い違いの理由を可能な範囲で説明する
- 議論が続いている論点を明示する
- 文脈によって解釈が変わる場合は注記する
ステップ4:情報源の格付け
各情報源を次の基準で評価する(採点の詳細は references/verification_methodology.md を参照)。
信頼度スコア(1〜100)を次の要素で算出する。
-
情報源の信頼性(重み40%)
- 査読付き学術論文:90〜100点
- 官公庁・公的統計:80〜95点
- 編集体制のある報道機関:70〜85点
- 専門家の見解:60〜80点
- 一般のニュース・ブログ:30〜60点
- 匿名・出所不明:0〜30点
-
方法・手法の質(重み30%)
- 調査設計の厳密さ
- 標本規模の妥当性
- 統計的有意性
- 統制(コントロール)の有無
- 手法の透明性
-
新しさ(重み15%)
- 6か月以内:90〜100点
- 6か月〜2年:70〜89点
- 2〜5年:50〜69点
- 5年超:0〜49点
- (注:歴史的事実では重要度が下がる)
-
裏付けの厚み(重み15%)
- 独立した5件以上:90〜100点
- 独立した3〜4件:70〜89点
- 1〜2件:50〜69点
- 裏付けなし:0〜49点
総合スコアの式
(情報源の信頼性 × 0.40)+(方法の質 × 0.30)+(新しさ × 0.15)+(裏付けの厚み × 0.15)
ステップ5:レポートの作成
次の構成で結果をまとめる。
要約(エグゼクティブサマリー)
2〜4文で概観する。
- 全体としての信頼性評価
- 検証・否定した主張の件数
- 主な発見・懸念点
- 全体の信頼性スコア(1〜100)
詳細な検証結果
各主張について、次を記載する。
**主張[番号]:[主張の内容]**
**検証ステータス:** 真/偽/一部正確/未検証/意見
**確信度:** 高/中/低([パーセンテージ]%)
**評価:**
[検証結果の説明(2〜3文)]
**支持する証拠:**
- [情報源1](信頼度:[スコア]/100)— [要点を自分の言葉で]
- [情報源2](信頼度:[スコア]/100)— [要点を自分の言葉で]
- [必要に応じて追加]
**反証:**
[対立する情報、なければ「見当たらず」]
**文脈メモ:**
[重要な文脈・限界・留保]
情報源一覧(参考文献)
すべての情報源を信頼度評価つきで列挙する。
1. [情報源の名称・発行主体]
- URL:[リンク]
- 種類:[査読論文/公的/報道 など]
- 日付:[公表日]
- 信頼度スコア:[スコア]/100
- 強み:[主な強み]
- 限界:[懸念点]
2. [以下、すべての情報源について…]
全体の信頼性スコア
総合評価を示す。
内容の信頼性:[スコア]/100
内訳:
- 真と判定した主張:[X]
- 偽と判定した主張:[X]
- 一部正確:[X]
- 未検証:[X]
- 情報源の平均信頼度:[スコア]/100
解釈:
[スコアの意味の説明]
提言
実行可能な提言を示す。
さらなる検証のために:
- [検証を高めるための具体的な行動]
- [追加で当たるべき情報源]
- [専門家の確認が要る論点]
確認された注意信号(レッドフラグ):
- [懸念されるパターンや問題]
- [偏り・利益相反の可能性]
- [手法上の懸念]
分野別の留意点
医療・健康に関する主張
- 査読付き医学論文、専門学会・医療機関の情報、公的機関(厚生労働省、PMDA、WHO など)を優先
- 必要に応じて医薬品・医療機器の承認状況を確認(日本ではPMDA・厚生労働省)
- 臨床試験データやメタ分析を探す
- 体験談・逸話的証拠の扱いには特に慎重に
- 医学界の合意(コンセンサス)を踏まえる
科学に関する主張
- 査読論文・学術データベース(J-STAGE、CiNii、Google Scholar など)を探す
- 追試(再現研究)の有無を確認する
- 手法と標本規模を確かめる
- 科学的合意を踏まえる
- 利益相反の有無に注意する
統計に関する主張
- 原典の公的データベース(e-Stat、各種白書、官報など)で裏を取る
- 標本抽出の方法と誤差(標本誤差)を確認する
- 統計的有意性を見る
- 対象期間と文脈を踏まえる
- 都合のよい数字だけの抜き出し(チェリーピッキング)に注意する
歴史に関する主張
- 一次史料・archival な記録(公文書館、国立公文書館、アジア歴史資料センター等)を探す
- 複数の研究者・専門家と突き合わせる
- 学術的な歴史研究(学会誌など)を確認する
- 史学上の論争(解釈の対立)を踏まえる
- 史料の年代に注意する
政治に関する主張
- 中立的な検証機関を使う(特定の立場に偏らないこと)
- 公的記録で裏を取る(国会会議録、官報、各府省・自治体の公表資料、選挙関連の公的データ)
- 文脈と発言の全文を確認する(切り取り引用に注意)
- 複数の報道を比較する
- 党派的な枠づけ(フレーミング)に注意する
速報・進行中の事案
- ごく新しい主張は特に慎重に扱う
- 必要に応じて「未確認」「速報段階」と明示する
- 独立した複数の情報源で確認する
- 状況が流動的なときはその旨を注記する
- 新たな情報が出たら評価を更新する
重要な原則
必ず行うこと
- 支持する証拠と反証の両方を探す
- 情報源の内容は自分の言葉で要約する(直接引用しない)
- 可能ならURLつきで典拠を示す
- 証拠が限られるときは不確かさを認める
- 文脈とニュアンスを踏まえる
- 意見の問題であるときはその旨を明示する
- 古い情報には注意喚起する
- 手法上の限界を開示する
してはならないこと
- 最初の情報源を検証せずに受け入れる
- 公表日を無視する
- 利益相反を見落とす
- 都合のよい証拠だけを拾う
- 著作物を直接引用(転載)する
- 過信した断定をする
- 信頼できる反証を無視する
- 相関と因果を混同する
証拠が限られるとき
- 限界をはっきり述べる
- 主張を「未検証」とする
- 追加の検証方法を提案する
- 検証に何の情報が必要かを示す
参考資料(references)
本スキルには次の参考文書が付属する。
references/trusted_sources.md
信頼できる情報源を分野別にまとめたガイド。
- 日本の一次情報・公的統計(e-Stat、各府省、白書、官報、裁判所、国会会議録 など)
- 学術・研究のデータベース(CiNii、J-STAGE、Google Scholar、PubMed など)
- 国内外のファクトチェック機関(日本ファクトチェックセンター、FIJ、国際機関 など)
- 編集・校閲体制のある報道機関
- 分野別の情報源(医療・科学・法律・経済)
- 情報源の質を見る基準と注意信号(レッドフラグ)
参照のタイミング: どの主張にどの情報源を優先すべきか迷ったとき。
references/verification_methodology.md
検証と信頼性評価の詳しい方法論。
- 検証ステータスの定義と基準
- 確信度の目安
- 信頼度スコアの算出方法(重みづけと式)
- 分野別の特別な留意点
- よくある落とし穴とベストプラクティス
- 文脈評価のフレームワーク
参照のタイミング: ステータスの割り当て、信頼度スコアの計算、分野別の検証手法を詳しく確認したいとき。
出典・ライセンス(帰属表示)
本スキルは AI Journalism Skills(by Florent "Flo" Daudens, CC BY 4.0,
https://huggingface.co/spaces/fdaudens/ai-journalism-skills )の fact-checker スキルを
原典の構成(主張抽出→情報源調査→信頼性評価→情報源格付け→レポート作成の5段階、確信度・スコアリング、分野別ガイド、付属 references)に沿って日本語化し、
米国固有の情報源・データベースを日本の一次情報源(官公庁・e-Stat・裁判所・国会会議録等)および国内外の検証機関に再構成したものです。
米国限定のリンク・機関は日本の相当物に置き換え、該当しないものは「米国固有のため割愛」と明記しています。
原典の著作物本文は転載していません。改変を加えており、原作者の公認・推奨を受けたものではありません。
ライセンス(CC BY 4.0)の全文は https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/ を参照。