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kikaku-teian

新聞・通信社・雑誌・ウェブ媒体での企画提案(ネタ出し)を支援する。日刊ニュース、特集・連載、調査報道、寄稿・コラム、フリーランスからの売り込みまで、媒体や尺に応じた提案の組み立て方とテンプレートを扱う。デスクや企画会議にネタを通したい、取材計画・必要リソースを示したい、外部媒体に売り込みたい、といった依頼で使う。

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企画提案(ネタ出し・売り込み)の手引き

良いネタも、提案がまずければ通らない。このスキルは、企画提案の構造、切り口(アングル)の磨き方、媒体・出稿形態に応じた書き方を扱う。 記者の意図を聞き取り、デスクや企画会議で通る提案案を一緒に組み立てる。最終的な出稿判断と事実確認は記者・デスクが行う。

注意:媒体ごとに企画の通し方・尺・締切・体制は異なる。各社の出稿ルールや会議の慣行に合わせて適宜調整すること。本スキルは一般的な手引きであり、特定社の編集方針を代弁するものではない。

このスキルを使う場面

  • デスク・キャップ・編集長にネタを通すとき(社内提案)
  • 企画会議・出稿会議に出すネタ票を作るとき
  • フリーランスとして外部媒体に売り込むとき(売り込みメール)
  • 取材に入る前に切り口を詰めるとき
  • 編集委員・専門記者として連載や大型企画を立てるとき
  • 助成・フェローシップ・取材費の申請を書くとき

提案の基本

どんな提案にも必要な5要素

  1. フック(つかみ):なぜ読者が関心を持つのか。なぜ今なのか。
  2. 中身:何を見せ/暴き/解き明かすのか。
  3. 裏づけ:いま何を持っているか。これから何が取れるか。
  4. 取材の足場:誰に話を聞くか。何を見られるか。どんな資料があるか。
  5. 求めるもの:必要な時間・予算・人手・紙面(尺)は何か。

「で、それが何なの?」テスト

提案する前に、次の4つに答えられるか確認する。

  • なぜこのネタか?(意義・重要性)
  • なぜ今か?(ニュースバリュー・時宜性)
  • なぜ自分(自社)か?(取材の足場・専門性・独自の切り口)
  • なぜこの媒体・この紙面か?(読者層との相性)

4つすべてに答えられなければ、まだ提案する段階ではない。

ニュースバリューの物差し(デスクが見る観点)

デスクや会議は、限られた人手と紙面・尺をどこに振るかを判断している。次の観点で「強さ」を言語化しておく。

  • 新規性・独自性:他社が報じていない事実か。自社の特ダネになるか。
  • 影響の大きさ:何人に関わるか。いくらの金額か。どれだけの被害・利益か。
  • 時宜性:いま報じる理由(採決・判決・発表・記念日・季節・続報の節目)。
  • 公益性・社会的意義:説明責任を問えるか。読者の判断や行動に資するか。
  • 意外性・人間味:読者の予想を裏切るか。感情を動かすか。
  • 読者との距離:読者の生活・地域・財布にどう響くか。

出稿形態別テンプレート

1. 日刊ニュースのネタ票

その日・翌日に出す、回転の速い原稿。出稿デスク向け。

**仮見出し(スラッグ)**:[2〜3語の識別名]
**ネタ(1文)**:[ニュースの核心は何か]
**なぜ今**:[いま報じる理由・締めの事情]
**取材先**:[誰に当たるか]
**進行**:[いつ出稿できるか/締切]
**体裁**:[行数・字数、写真・図表・動画の有無]

例:
**仮見出し**:市議会・予算採決
**ネタ**:市議会が今夜、賛否の割れる警察費増額案を採決する。
**なぜ今**:数か月の議論を経た最終採決。傍聴・抗議の動きもある。
**取材先**:議長、増額反対の市民団体、警察当局の担当。
**進行**:朝刊向けに22時までに出稿。
**体裁**:本記700字+採決の写真。続報は明日朝。

2. 特集・連載のネタ提案

取材に時間をかける長めの読み物・企画向け。

## [仮タイトル]

**1文で言うと:**
[このネタは何の話か]

**フック(つかみ):**
[なぜ読者は読むのか。感情・知的好奇心の入り口はどこか]

**新しさ:**
[まだ語られていない、自分が握っている事実は何か]

**構成(見せ方):**
[どう語るか。物語の運び、軸になる場面・登場人物]

**取材先と足場:**
[誰に取材するか。何を現場で見るか。資料は]

**ビジュアル:**
[写真の見せ場、図解、動画など]

**進行とリソース:**
[取材・執筆にかかる期間。必要な人手・予算]

**なぜ自分か:**
[このネタとの関わり、専門性、取材の足場]

例:

## 最後の渡し守

**1文で言うと:**
47年勤めた離島航路の最古参船長が引退する。長年の暗黙知ごと、ひとつの時代が終わる。

**フック:**
島の8千人の足を支える航路。だが運航する人々の顔を、利用者のほとんどは知らない。山下船長は何人もの首長の交代を見送り、台風や海難に立ち会い、いまの船長を全員育てた。引退は一つの時代の区切りだ。

**新しさ:**
この航路の乗組員を正面から描いた記事は、過去の海難事故以降ない。船長は最終勤務週の同乗取材を承諾。1977年から航海日誌をつけている。

**構成:**
人物ルポ。最後の出航から書き起こし、要所要所で来歴を挟む。乗組員・家族・長年の常連客の声を織り込む。

**取材先と足場:**
- 山下船長(同乗取材の許可済み)
- 航路を所管する自治体・運航会社の責任者
- 船長が育てた現役船長たち
- 通勤で使う常連客
- 家族

**ビジュアル:**
カメラマンが同乗。夜明けの港。自宅の記念品。本人提供の古い写真。

**進行とリソース:**
取材2週間、執筆1週間。早朝撮影3日分のカメラマンの手当てが必要。

**なぜ自分か:**
この航路で育ち、いつか書きたかったネタ。事前のやり取りで船長と信頼関係ができている。

3. 調査報道のネタ提案

説明責任を問う、相応の人手・期間・予算を要する報道向け。

## [仮タイトル]

**仮説(何が言えるか):**
[いま立証できること/疑っていること]

**なぜ重要か:**
[影響:誰が損をするか。金額は。何人に及ぶか]

**いま持っているもの:**
[入手済みの資料・データ・証言]

**これから必要なもの:**
[追加で要る取材]

**主な取材先:**
[誰が話すか。実名/匿名か。内部告発者はいるか]

**文書による裏づけ:**
[情報公開請求が要るか。登記・登記簿・決算・裁判記録など]

**法務・リスク:**
[名誉毀損のリスク。取材源の秘匿。事前の反論取材]

**競合リスク:**
[他社が追っていないか。なぜ今か]

**進行:**
[取材・執筆・デスク・法務・反論期間を現実的に見積もる]

**必要リソース:**
[情報公開の費用、出張、データ分析、図解、動画]

**掲載計画:**
[単発か。連載か。続報を重ねるか]

例:

## 県発注工事、関係先に集中

**仮説:**
過去5年、県発注の建設工事のうち50億円超が、調達担当者と個人的つながりのある業者に流れ、競争入札が形骸化していた疑い。

**なぜ重要か:**
公共事業の割高化で税金が無駄になっている。つながりのある業者が施工した橋のうち少なくとも3件で、早期の補修が必要になっている。

**いま持っているもの:**
- 県の契約データベース(収集・分析済み)
- 所有関係を示す登記・商業登記
- 証言に応じる元調達職員2人(うち1人は実名可)
- 担当者が知人に発注を誘導したと読めるメールのやり取り

**これから必要なもの:**
- 内部のやり取りに関する追加の情報公開請求
- 不当に落札を逃したと語る他業者
- 橋の補修パターンに関する技術者の評価
- 名前の挙がる当局者への反論取材

**主な取材先:**
- 告発者A(実名可、苦情申立ての記録あり)
- 告発者B(背景情報のみ、報復を懸念)
- 落札を逃した業者(実名可)
- 橋の評価をする技術者
- 当局者(掲載前にコメントを求める)

**文書による裏づけ:**
- 契約実績(公開済み・入手済み)
- 登記類(公開・入手済み)
- 内部メール(情報公開請求中)
- 点検報告書(情報公開請求中)

**法務・リスク:**
すべての主張を資料で裏づける。名前の挙がる全員に事前に反論取材する。標準的な名誉毀損チェックが必要。

**競合リスク:**
地元局が昨年、橋の1件を取り上げたが、構図全体までは踏み込んでいない。本企画はより深い調査。

**進行:**
全体で8〜10週間。追加取材6週間、執筆・デスク2週間、法務・反論期間2週間。

**必要リソース:**
情報公開・資料取得の実費、データ分析の支援、県庁所在地への出張1回。

**掲載計画:**
本記(3千字程度)+読者が契約を検索できるデータベース+取材手法の解説囲み。

4. 寄稿・論説(オピニオン)の提案

社外筆者の寄稿や、論説・コラムの売り込み向け。

件名:寄稿のご提案:[見出し案]

[論説/オピニオン担当] ご担当者様

[1段落:主張は何か。なぜ今か]

[1段落:なぜ自分がこの主張をするにふさわしいか]

[1段落:なぜ貴媒体の読者に合うか]

字数は[字数]字程度、貴媒体への独占寄稿です。

[氏名]
[肩書・略歴]
[連絡先]

---

例:

件名:寄稿のご提案:「多様性推進の予算削減は全生徒の不利益になる」

論説ご担当者様

市教育委員会が来週、多様性推進の担当職員を廃止する方針を決めようとしています。これは特定の生徒だけでなく、すべての生徒から、企業が求める力を養う機会を奪うものです。私は20年、大手企業の人事に携わってきました。企業は、立場の違う相手と協働できる人材を求めています。この決定は、地域の子どもたちの競争力を確実に削ぎます。

私は前職で大手企業の人事責任者を務め、いまは市内に子を通わせる保護者でもあります。運動家としてではなく、労働市場が何を求めるかを知る実務家として書きます。

貴媒体の論説面は、これまで教育予算の議論を丁寧に追ってきました。読者の多くは地域の保護者です。企業のニーズを教育の言葉に翻訳できる立場からの一文が、いま必要だと考えます。

字数は1200字程度、貴媒体への独占寄稿です。

山田花子
前・〇〇社 人事担当役員
市内在住の保護者
yamada@example.com / 090-0000-0000

5. フリーランスの売り込みメール

寄稿先(自分が所属していない媒体)への持ち込み向け。

件名:企画のご提案:[惹きつける見出し]

[編集ご担当者] 様

[つかみ:ネタの中で最も引きのある事実・問い]

[ネタの中身:何の話か、誰の話か、何を見せるか]

[なぜ今:ニュースのきっかけ・時宜性]

[いま握っているもの:確保した取材先、得た資料・許可]

[なぜ貴媒体か:これまでの紙面・読者層との相性]

[なぜ自分か:関連する実績、専門性、取材の足場]

字数は[字数]字程度、[期間]でお渡しできます。

ご検討よろしくお願いします。

[氏名]
[略歴]
[関連する掲載実績2〜3点へのリンク]
[連絡先]

---

例:

件名:企画のご提案:偽の看護師免許を追う一人の看護師長

編集ご担当者 様

田中真理さんは3年で、偽の学歴を持つ看護師を47人見つけ出しました。勤務先の身元確認ではなく、休日に自分で続けてきた一覧表によってです。

地方の病院で看護師長を務める田中さんは、同僚が学位商法で資格を買っていたのを知り、独自の照合を始めました。海外で取得した資格を十分に確認していない実態に気づいたといいます。本業のかたわらの作業が、当局が見過ごしてきた患者安全の穴をあぶり出しました。

このネタは時宜にかなっています。県議会が今会期で免許制度の見直しを議論しており、田中さんは賛成の立場で参考人として発言、業界団体は反対しています。採決は約6週間後です。

私は田中さんに2度取材し、一覧表と裏づけ資料を確認、田中さんが特定した不正な看護師3人にも話を聞きました(うち2人は背景情報のみ)。県の担当部署もコメントに応じる意向です。

このネタは、貴媒体の医療と説明責任に関する報道に合うと考えます。先日の医師の監督体制をめぐる記事も、近い制度の穴を扱っていました。

私は医療制度の取材を[媒体名]などで続けており、複数の県の担当者に取材源があります。看護師派遣をめぐる[媒体名]掲載の記事を添付します。

字数は5千字程度、4週間でお渡しできます。

ご検討よろしくお願いします。

[氏名]
フリーランス(医療担当)
[掲載実績リンク]
[連絡先]

切り口(アングル)を磨く

フックの見つけ方

自問する。

  • 対立は何か?(誰と誰が争っているか)
  • 緊張は何か?(何が懸かっているか)
  • 意外は何か?(読者が予想しないことは)
  • 感情は何か?(読者は何を感じるか)
  • 問いは何か?(まだ分かっていないことは)

「居酒屋」テスト

このネタを、居酒屋で隣の人に1文で説明できるか。

漠然としすぎ:「児童養護のしくみの問題についての話」

業界内輪すぎ:「2018年の通知が措置費の配分にインセンティブのねじれを生んだ話」

ちょうどいい:「養護施設の子が何度も家を移されて、1年で10校も転校する例がある。なのに、その影響を誰も追っていない」

「テーマ」と「切り口」は違う

テーマ切り口
住宅困窮公営住宅の入居待ちが3年続く、ある家族
気候変動海面上昇でもう移転を始めた集落
医療費特許延長の裏で3倍に跳ね上がった薬の価格
教育自腹で年10万円分の教材を買い続ける教員

テーマは何を扱うか。切り口はどう扱うか。

よくある失敗

盛り込みすぎ

ダメ:「市教委はいろいろある。予算、児童減、教育長人事、施設の老朽化。全部やりたい」

良い:「教育長候補が、方針の正反対な2人に絞られた。両者を描き、何が懸かるかを示す」

ニュースのきっかけがない

ダメ:「住宅困窮はわが街で深刻化している」

良い:「先月、市内の立ち退き関連の相談が5年で最多になった。何が起きているのか」

取材の足場があいまい

ダメ:「困窮者と行政に話を聞く」

良い:「2か月、一つの家族を相談から追っている。住宅担当課長も取材に応じる」

何も懸かっていない

ダメ:「博物館で郷土史の企画展がある」

良い:「企画展の展示品の一部を、再開発で持ち去られたと主張する地元の家がある。返還を求めている」

提案のあとで

通ったら(採用・出稿GOが出たら)

  • 締切・尺(字数・行数)・デスク(編集)の流れを確認する
  • フリーランスはキルフィー(不掲載時の補償)の有無を確認する
  • 担当の連絡手段を確認する
  • 表記ルール・図表や写真・動画の要否を確認する

通らなかったら

  • 理由を簡潔に、礼を失せず尋ねる
  • 別の切り口なら通るか聞く
  • 次のネタに向けて関係を温めておく

返事がないとき

  • 1〜2週間後に1度だけ催促する
  • それでも音沙汰がなければ、他媒体に出してよい(独占の約束がない限り)
  • 個人的に受け止めない。デスク・編集は常に手いっぱいだ

提案がネタを売る。売れたあとは、ネタ自身が読者をつかむ。


出典・ライセンス(帰属表示)

本スキルは claude-skills-journalism(by Joe Amditis, MIT License, © 2025 Joe Amditis, https://github.com/jamditis/claude-skills-journalism )の journalism-core/story-pitch を 原典の構成(提案の基本・出稿形態別テンプレート・切り口の磨き方・よくある失敗・提案後の対応)に沿って日本語化し、 米国の媒体事情を日本の新聞社・通信社等の出稿/企画会議の実務に再構成したものです。 米国固有の媒体・制度に関する記述は日本の実務に置き換え、該当しない部分は適応・割愛しています。 原典の著作物本文は転載していません。原作者の公認・推奨を受けたものではありません。 MIT ライセンス全文は同梱の LICENSE-MIT.txt を参照。

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